コーヒーの焙煎:カッピングについて
コーヒーの味わいに大きく影響する焙煎という作業。
今回は、焙煎した後の品質チェック(カッピング)についてフォーカスして説明していきたいと思います。
【目次】
カッピングとは
BASE COFFEEでは、カッピングを「コーヒーを評価するために使う世界共通言語のツール」と捉えています。
簡単に説明するとコーヒーの味をテイスティングして、そのコーヒーにはどんな風味や酸味が含まれていて、どんな要素で構成されているかを見極めるために行います。
またカッピングとは、コーヒーの抽出方法が統一されていて、誰が抽出しても、同じ条件になるように抽出することが出来ます。ペーパードリップ等でコーヒーを抽出すると、淹れる人によって、抽出される成分が若干変化してきてしまいますので、カッピングという浸漬方式で抽出したコーヒーで味わいをテストするのです。
カッピングの手順はいたって簡単です。
カッピングボウル(カップ)にコーヒー粉をセット ▶ お湯を注ぐ ▶ 4分待つ ▶ 攪拌 ▶ 上澄みを取る ▶ カッピングスプーンでテイスティング
抽出は、コーヒープレスと全く同じ方式です。
コーヒーの味わいをもっと楽しみたい方にコーヒープレスがおすすめなのは、カッピングと同じく、コーヒーの味がダイレクトに分かるからなのです。
カッピングの意義
カッピングは様々な場面で活用されていますが、その場面、場面で全く異なる評価基準を持って臨まなければなりません。
生産国での品質チェック
基本的にカッピングは生産国での格付けの際に用いられる手法です。
評価シートを用いて、決まった項目の味わい(酸質、甘味等)を評価します。
そしてその評価(点数を付けます)に基づき、そのコーヒーを格付けし、売買の際の値決めに役立てます。
また、コーヒー豆を買い付ける際でも同じようにカッピングを用いてコーヒーを評価し、購入側の判断基準として用います。判断基準は購入側の好みも含まれるので、ここでは
《評価シートを用いた点数基準》 + 《購入側の好み》
が判断基準となります。
焙煎での品質チェック
BASE COFFEEでは、焙煎後の品質チェックでも、このカッピングを活用しています。
もちろん買い付け時の判断基準とは、全く別の評価基準を用いて行います。
ここでの評価は、お客様が美味しく飲めるかどうかの判断。品質の良し悪しは、買い付け時(購入時)に判断済みですので、品質チェックは行いません。
BASE COFFEEでは、お客様の多くがペーパードリップ(コーヒーメーカーやハンドドリップ)での抽出を採用していると捉え、ペーパードリップで美味しく飲んで頂けるように、焙煎し、品質チェックを行います。
具体的には、酸味を如何にして飲みやすい程度まで減らしながらも、全て無くしてしまうと全体のバランスや産地特性が無くなってしまう(感じにくくなる)ため、微量残すように、焙煎しています。
ここ最近、酸味が強いコーヒーや、香りだけに特化したコーヒー豆が販売されることが多くなってきたように思います。もちろん、そのコーヒーは、「コーヒープレス抽出におすすめ」と説明がなされていれば良いと思うのですが、ペーパードリップ抽出をすると酸味がとがってしまうのは、焙煎後のカッピングで用いる判断基準を、産地で行うもの(品質チェックをする基準)と同じ判断基準で行っているからなのです。
海外では、コーヒープレス抽出が主流ですので、産地で行うカッピングと同じ判断基準で仕上げる方がより良いコーヒー豆と評価を受けることが多いのかも知れません。
個人的には、日本人に合った焙煎というより、日本のコーヒー文化に寄り添って、自家焙煎店も成長していく必要があると思っています。
焙煎へのフィードバック
カッピングでの評価後の、焙煎へのフィードバックは欠かせません。
我々は焙煎した豆の評価は出来ても、焙煎した豆の味わいを見た目で評価ができません。(当たり前ですが)
ですので、毎回カッピングにて評価し、その日、その時間で行った焙煎の検証を行います。
例えば
「今日は少し香りが強く出ているな」
「焙煎時間がいつもより〇〇だったからだろうか」
「では次の焙煎では、時間を〇〇にして再検証しよう」
という具合です。
本当に地道な作業を繰り返し行い、今の味わいに至っております。
毎回、完璧に成分量も全く同じ!にしたいのは本音ですが、そんなことは到底不可能なのです。外気温の影響を全く受けない空間で、焙煎を行うことが出来れば、それは可能かも知れませんね。
BASE COFFEEでは、各商品に基準があり、どれぐらの範囲であれば、商品として成立するかを判断しています。
我々が捉える微妙な味わいの変化は微量な部分かも知れませんが、その微妙な味わいの変化をキャッチし、常に焙煎へフィードバックすることで、季節の変化や、コーヒー生豆の状態の変化、湿度の変化に対応することが出来ます。
季節によって焙煎行程を変化させることで、常に一定の品質基準のコーヒー豆を提供していけると考え、日々焙煎に取り組んでいます。