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コラム
COLUMN

2019.04.16
コーヒー

カフェの歴史

 

カフェという、人々がコーヒーを主とするドリンクや食事を楽しみながら、思い思いの時間を過ごすちょっと特別な空間に、今日も誰かが足を運んでいます。

ベースコーヒーでも様々なお客様が、皆さま違った時間を過ごしています。

カフェ巡りを趣味としている方も少なくなく、今ではあらゆるところにある「カフェ」ですが、コーヒーを楽しむカフェという形態のお店は一体いつからあったのか?昔の人々はカフェをどのように使っていたのか?

今回は、今では当たり前にある「カフェ」の歴史を紐解いていきます。

 

カフェの原点、カフェハネ

前回のコラムで、コーヒーの原型となるカフアがイスラム教徒によって飲まれていたという話をしましたが、ここでは少しその続きを見てみましょう。

前回のコラムはこちら→ コーヒー飲用の歴史

 

スーフィーから人々へ

 

イエメンのスーフィー達が儀式に用いていた「コーヒーのカフア」は長期間の保存や輸送に向いていたこともあり、次第にイエメン全土へと知れ渡っていきました。

15世紀の終わりには、イスラムの聖地であるメッカやメディナの居住区でもカフアが飲まれるようになりその広がりは勢いを増すばかり。

 

学者や学生といった職業の人の中にはカフアをスーフィー同様、眠気覚ましとして愛飲していた人もいたそうですが、中には単に嗜好品としてカフアを楽しむ人々もいたそうです。

そんなカフアを単に楽しむ人々のためにあるものが生まれます。そうカフアの専門店、現代でいうところの「カフェ」です。

 

カフェハネ

 

16世紀になって間もなく、コーヒーを楽しむ専門店「カフェハネ」がメッカで生まれたと言われています。

アルコールが禁止されているイスラム教の世界において、カフェハネは多くの人が集まりコーヒーを楽しみながら語らう、酔っぱらうことのないバーのような特別な交流の場になりました。

ただ一つカフェハネにはルールが…それは「女人禁制」

男性しか立ち入ることを許されていませんでした。このルールは、後に紹介する、カフェハネをもとにしたイギリスのコーヒーハウスにも受け継がれています。

カフェハネ

ヨーロッパのコーヒーハウス

17世紀に入るとヨーロッパにもコーヒーが伝わります。当初は貴族の飲み物でしたが、あるものが登場すると、次第に市民階級にも広がっていきます。

そのあるものというのが後に社会に大きな影響を与えることになる交流の場、コーヒーハウスです。

 

コーヒーハウスの始まり

 

コーヒーハウスとは、コーヒーを片手に、身近の小さなことから国の政治に関することを語り合う市民の交流の場で、まさにヨーロッパ版のカフェハネと言えるもので、ヨーロッパで最初にコーヒーハウスが開かれたのはイギリスであったと言われています。

 

17世紀には、コーヒーはさまざまなルートでヨーロッパに持ち込まれ、その飲み物に人々が魅了され、コーヒーを出す専門店、コーヒーハウスが生まれるまでそれほど時間はかかりませんでした。

その拡大はすさまじく、17世紀の終わりに生まれたコーヒーハウスは数年で、3000軒以上に増え、ロンドンのあらゆるところに立ち並んでいたそうです。

 

また、ほぼ同時期に他の国、フランスやオーストリアなどでもコーヒーハウスが生まれ、人々がコーヒーとおしゃべりを楽しみ、時には歴史が動くきっかけになったりもしました。

 

時代の動きはコーヒーハウスから

 

貴賤貧富関係なく多くの人々が集い、コーヒーを片手に語り合い教養を高める場として人気を博したコーヒーハウスは、ただコーヒーをたしなむ場だけにはとどまりませんでした。

イギリスでは、コーヒーハウスは株式取引場所や保険取引所、またイギリスの二大政党のホイッグ党やトーリ党の集会拠点などに用いられ、ロンドンの政治や経済などの発展の場となりました。

 

フランスでは、ヴォルテールやルソーの『百科全書』の編集の場として用いられました。またフランス王政に不満を持つ革命家の集会所もコーヒーハウスで、フランス革命はコーヒーハウスから始まったとも言われています。

 

コーヒーハウス

 

日本のカフェ

 

世界有数のコーヒー消費国として知られている日本とコーヒーの出会いは他国のそれと比べると遅く18世紀ごろだと言われています、また持ち込まれた当初はその味がなかなか受け入れられず、一般にはほとんど広がりませんでした。

しかし明治に入ると次第にコーヒーを提供するお店ができ始め、人々にコーヒーが浸透していき、そこから独自の文化を生み出していったのです。

 

文明開化と喫茶店

散切り頭を叩いて聞こえる音の主、1870年代の「文明開化」のころには輸入され始めていたコーヒーを日本人も受け入れ始めます。主に輸入食品店で販売されたり、お茶屋の新たなメニューとして提供され始めました。

その後コーヒーに特化したお店が出るようになります。今でいうところの喫茶店です。

19世紀の終わりに多くの喫茶店が生まれましたが、コーヒーハウスのような雰囲気のお店はまだ時代が追い付いておらず、数年で閉店してしまうものがほとんどであったそうです。

 

20世紀と日本のカフェ

20世紀に入るとようやく時代がカフェ文化に追い付いてきます。

フランスのカフェに憧れを持つ人々が増え始め、コーヒーをメニューの中心とするお店ができ始めました。

日本の喫茶店、カフェでは、コーヒーや軽食が楽しまれたのはもちろんのこと、お酒や給仕係の女性もお客さんの目当ての一つだったようで、そっちをメインに置くお店も少なくなかったようです。

その中で、お酒や女給さんを置かず、コーヒーや軽食に力を入れていたお店は「純喫茶」と呼ばれ、こだわりを持つ店主たちが、コーヒーの知識や技術を研究、共有し日本独自のコーヒー文化を高めていったのです。

コーヒーカップ

 

 

人々が他人との交流と憩いを求めたカフェハネ。人々が教養を求め集い、時には社会情勢を動かしたコーヒーハウス。こだわりのコーヒー文化を生み出していった日本の純喫茶。

こうしてカフェの歴史を見ていくと、カフェがただコーヒーを飲むだけの場ではないというのは今も昔も変わないことがわかります。

カフェという空間には、人々を惹きつけ何かを起こす魔力があるのかもしれませんね。