焙煎後だけじゃない、もう1つの鮮度とは?
コーヒーは生鮮食品、鮮度は品質を左右する重要なポイントです。
しかし、コーヒーにおける鮮度と言うと2つ意味に分けられるのをご存知ですか?
1つは豆が焙煎されてからどれくらい時間が経ったかの鮮度。
そしてもう1つは、コーヒーが収穫されてから焙煎されるまでにどれくらいかかったかの鮮度です。
ではコーヒーは時間と共にどう変化していくのか、今回は生豆の鮮度と味わいの関係性についてご紹介します!
【目次】
クロップとは?
コーヒー業界ではしばしば「クロップ」という単語が使われます。
これは収穫物のことを指し、コーヒーの場合生豆、つまりは焙煎前の豆のことを表すことばです。
多くのコーヒー生産国で、10月から収穫が始まるということもあり、コーヒー業界は10月1日から新しい年度として定められていて、10月を境にクロップの名称も変わっていきます。
ちなみに日本では10月1日はコーヒーの日と全日本コーヒー協会によって定められています。
収穫時期によってどう変わる?
上記のようにコーヒーの生豆はクロップと呼ばれていて、収穫からの時間経過によって名前が変わり区別されています。
ではそれらの名前と特徴を見ていきましょう!
ニュークロップ
ニュークロップとは新収穫品のコーヒー豆を指し、収穫されてから数か月以内の生豆のことです。
収穫されて日が経っていないコーヒー豆は水分を多く含んでいるため、青緑色をしています。
焙煎すると味や香りがはっきり出るため、スペシャリティコーヒー業界ではニュークロップはとても重宝されています。
香りを活かし、酸味のすっきりとしたシングルオリジンコーヒーなんかに向いています。
逆に言えば、とがった酸味が出やすいため焙煎はとても難しいです。
カレントクロップ
カレントクロップはその年の収穫品のことで、ニュークロップよりも少し時間がたった、収穫後数か月後の生豆のことです。
ニュークロップよりも少しだけ水分量が減っているため、緑色をしています。
鮮度の面では収穫後一年以内ということもあり申し分なく、焙煎するとニュークロップ同様、味や香りを楽しむことができます。
ニュークロップと比べると少し香りや味わいが収まり、丸くなっているのでシングルオリジンだけでなく、ブレンドコーヒーにも向いていると言えます。
パーストクロップ
ニュークロップ、カレントクロップがその年の生豆なのに対して、パーストクロップは前年度に収穫された生豆のことです。
色合いは少し黄色がかっています。
約一年経っていることもあり、ニュークロップ、カレントクロップに比べ酸味の角が取れた少し落ち着いた味わいになります。人によってはパーストクロップくらいがちょうどいいという人もいるようです。
焙煎すると味や香りは少し落ち着いた感じなりますが、しっかりとした酸味を必要としないエスプレッソなんかには向いているのがパーストクロップです。
オールドクロップ
収穫後2年以上経過している生豆をオールドクロップと呼びます。
見た目はパーストクロップ以上に黄色がかった色合いです。
古い豆や劣化した豆と考えられることが多く、焙煎しても味わいや香りが抜けていることがあり、独特なコクを加えるために他の豆に少しブレンドされることがあります。
ただオールドクロップくらいになってからのが美味しいコーヒーもあり、強い酸味を持つコーヒー豆の場合ニュークロップの時よりも、収穫から時間が経ってから飲んだ方が飲みやすくなることもあるので一概にオールドクロップが悪い豆とは言えません。
エイジドコーヒー
鮮度という話をすると、古い豆=悪い豆というように思われてしまうかもしれませんが、それだけでは語れないのがまたコーヒーの深いところです。
コーヒーの中にはゆっくりと時間を置いて熟成することによっておいしく飲めるようになるコーヒーもあります。
そういった丁寧に管理され熟成されたコーヒーをエイジドコーヒーと呼びます。
倉庫の中で3〜5年の間保管され、その間豆は倉庫内でホコリやカビを防ぐため徹底的に管理されています。
エイジングコーヒーにすることによって、まろやかで深みのあるコクと甘く芳醇な香りを持つコーヒーに生まれ変わるのです。
ただの古いコーヒーではないエイジドコーヒーは人の手が加えられたとても奥深いコーヒーです。
最近ではエイジドコーヒーを積極的に使用している所も増えています。目にした時にはぜひ味わってみてください。