すぐに飲んじゃだめ?焙煎後少し置くといいと言われる理由とは
以前お店でこんな質問を受けました…
「焙煎後は少し置いてから飲んだ方がいいと耳にしたけれど本当なの?」
新鮮=良いという常識が崩れるこの「焙煎後に少し置いておく」という考えには疑問を持つ方が多いと思います。
野菜や果物の様に、出来立てで新鮮な時が一番いいように思われるかもしれませんが、コーヒーの世界では焙煎後、ひと晩ないし2日間くらい置いた豆の方がいいという考えがあります。
この考えに置いて重要になってくるのがコーヒーの鮮度を語る時などに度々登場する「ガス」です。
今回は、原因となるコーヒー豆から出るガスに関して、そしてなぜ焙煎後少し放置したコーヒーの方がいいと言われているかをご説明いたします!
【目次】
ガスの正体は?
コーヒー好きの方は、豆を保存していた密閉袋がパンパンになっていたり、淹れる時にドーム状にぷくぷくと泡が出てくるところを見たことがあると思います。
それらの原因は豆からガスが放出されているからです!
このガスの正体は焙煎豆の中閉じ込められていた二酸化炭素、つまり出てきていたのは炭酸ガスということになります。
実はガスは生豆の時からあるわけではありません、焙煎という工程を経て豆内で化学変化が起こり、初めてガスが発生するようになるのです。
このガスはコーヒーの鮮度を見る上で一つの目安になります。
ガスは時間とともにゆっくりと空気中に放出されていき、この時香りも同時に放出されてしまうため、ガスがたくさん抜けたコーヒーはその分香りも失われているということになります。
時間が経った鮮度が悪いコーヒーは、淹れても泡の出が悪かったり、きれいに膨らまなかったりしますが、これらは時間の経過とともにガスがほとんど放出されてしまっているからです。
つまりはガスがたくさん含まれているということは、新鮮で香り高いコーヒーの証拠ということです!
焙煎後は置いた方がいいと言われる理由
コーヒー業界には「コーヒー豆は焙煎後しばらくおいて味を落ち着かせた方がいい」という考えがあります。
こう考えられているのにはいくつかの理由があり、その一つが「ガスの放出が抽出を妨げる」というものです。
焙煎直後の豆は大量にガスを含んでいるため、その豆をすぐに挽いて使うとお湯を注いだ瞬間に大きな泡が出てきてしまいます。
これ自体は悪いことではありません、新鮮故の自然なことなのですが、問題はガスがお湯と豆との接触を阻害してしまうということです。
コーヒー抽出とは豆の成分をお湯に触れさせ溶かし出す作業です。泡が間に入ることによってお湯が豆に触れにくくなってしまい、成分を溶かし出すことができなくなってしまう、このことによって少し薄めのコーヒーになってしまいがちです。
少し時間を置くことによってガスが抽出を阻害しなくなると、抽出が安定し落ち着いたコーヒーになるというのが、「焙煎後は少し時間を置いた方がいい」という考えなのです。
この話を聞くと焙煎後は必ず置いておく時間が必要かのように聞こえますが、焙煎直後のコーヒーは飲んではいけないということは決してありません。
焙煎直後だからこそ感じることができる味わいがあったり、淹れ方次第でしっかりとした味を出すことも可能です。
確かに落ち着いた味を楽しむというのも楽しみ方の一つですが、コーヒーの楽しみ方に正解はありません。焙煎直後から毎日飲んでコーヒーの味の変化を楽しむというのも素晴らしいと思います!