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コラム
COLUMN

2019.08.15
コーヒー

まーちんのコーヒーと映画:『コーヒーをめぐる冒険』とドイツの風景

アイスコーヒーは浅煎り豆の水出しが結構好きな、スタッフのまーちんです!

映画に出てくるコーヒーに注目するコラムの第7弾、今回はドイツのとある映画から…

ご紹介するのは2012年公開のドイツ映画、『コーヒーをめぐる冒険』です。

モノクロの映像にジャズのBGMが独特な空気感を生み出していて、いつの間にか頭の中にすっと印象を残していく不思議なものがあり、観終わってしばらくした後にじわじわといろいろなことを考えさせられる物語です。

タイトルからもわかるように、とても重要な存在である『コーヒーをめぐる冒険』のコーヒーに関してご紹介します。

シリーズ第6弾の『最高の人生の見つけ方』に関してのコラムはこちら→まーちんのコーヒーと映画:『最高の人生の見つけ方』と動物コーヒー

 

『コーヒーをめぐる冒険』のあらすじ

『コーヒーをめぐる冒険』(原題:Oh Boy)は2012年にドイツにて公開された、ヤン・オーレ・ゲルスター監督の初長編作品で、国内外で数々の賞を受賞した作品です。

コーヒーをめぐる冒険

 

そんな『コーヒーをめぐる冒険』のあらすじは…

 

舞台はベルリン、二年前に大学を中退し、考えることだけをする気力のない毎日を生きる青年ニコは、ある朝恋人の部屋でコーヒーを飲み損ねたことを皮切りに、なかなかコーヒーを飲むことができないツイていない一日を送ることとなる。

運転適性診断ではカウンセラーと口論になり免停となってしまい、お金をおろそうとするとキャッシュカードはATMに吸い込まれてしまう。

自室には隣人が突然やってきて身の上の不幸と愚痴を聞かされ、街では昔いじめていた女の子に偶然出会い、彼女の知らなかった過去を聞かされる。

さらには、親からは大学を中退していたことがばれて支援を打ち切られ、別れ際にもらったお金とともにふらりと立ち寄ったバーではナチスドイツ時代を生き抜いた老人に絡まれてしまう。

ニコに訪れる、運に見放された出来事といろいろな人との出会い。人々が抱える悩みや苦しみに触れることで、意味のない日々を送っていたニコは少しながら、しかし確実に変わっていくのであった…

 

…というもの。

タイトルは『コーヒーをめぐる冒険』ですが、内容はコーヒーを目指して旅をするようなものではなく、とても複雑な人間模様を描いた作品です。

モノクロの映像とともにゆっくりと進んでいく物語は大きな事が起こらない単調なものに感じられるかもしれませんが、込められたメッセージはとても濃い映画、そしてなかなかコーヒーが飲めないニコを見ているうちにだんだんこっちもコーヒーが飲みたくなってしまう魔力があります!

 

『コーヒーをめぐる冒険』でのコーヒー

映画内ではとある決まったパターンがあります。それは主人公のニコがコーヒーを飲もうとすると何かしらの理由でなかなか飲むことができないというもの。

カフェに行ってもお金が足りなかったり、レストランで注文しようとしても「マシンが壊れている」と断られたり。

ケータリングのコーヒーをニコが飲もうとするとちょうど無くなっていたり、やっとコーヒーを注文できたと思いきや父親に「眠れなくなるから他のにしろ」と勝手に注文内容を変えられたり。

夜中にバーに行ってコーヒーを頼んでも「もうマシンをしめてしまった」とたどり着けず、自販機でコーヒーを飲もうとしても故障していたり…

物語の最後の最後にようやくコーヒーを飲むことができるニコなのですが、もうその時の彼は前半にただコーヒーを求めていた彼とはどこか違うのです。

彼がどう変化したかと感じるかは観る人それぞれだと思いますが、あなたがどう感じるかは観てのお楽しみということで!

コーヒーをめぐる冒険3

割と渋い空気感が流れるこの作品ですが、なかなかコーヒーにたどり着けないニコの姿がどこかどこか可笑しくて、コーヒーを求めるシーンは少し空気が緩む、ちょっとしたブレイクのような効果があったなと思います。

ただコーヒーに込められたメッセージというのは、正直難しすぎて私にはわかりません…が、ニコが見いだせない人生の目標を暗喩しているのだろうか?とか、ニコが心を閉ざしていていた社会と再びつながりを持ったことを意味しているのだろうか?など、観終わった後にいろいろ考えるのがこの映画のひとつの鑑賞の仕方なのかなと思います。

 

ドイツのコーヒー生活

この映画では、あらゆる場面で主人公がコーヒーを求めるシーンを見ることができます。大きなエスプレッソマシンが置いてあるカフェや、賑わうレストラン、真夜中のバーでまで。

そんなシーンをたくさん出せるのも、ドイツが世界有数のコーヒー消費国だからです。

 

ドイツのコーヒー消費

ドイツの飲み物と聞くとビールを想像する方が多いと思いますが、実はドイツは世界有数のコーヒー消費国で、ドイツコーヒー協会によると2017年の国民一人当たりの年間消費量は162リットルで、これは日本人の倍近い消費量です。

ここまでドイツでコーヒーが消費されているのには、ドイツの人々にとってコーヒーが生活の一部となっていることが大きいと言えるでしょう。

国民の約8割が毎朝必ず朝食とともにコーヒーを飲んで一日を始め、また彼らにとってちょっとした休憩時間や友人との交流の場にはコーヒーは欠かせないものだそうです。

ドイツの人々にとってのコーヒーは、同じヨーロッパのフランスやイタリアの様にエスプレッソではなく、日本でも飲まれているようなドリップコーヒーが主流です。

コーヒーモノクロ

近年のブームによってエスプレッソやカフェラテなんかもよく飲まれるようになり、カフェで飲まれているコーヒーも多彩な物になりましたが、依然としてコーヒーと言えばドリップコーヒーという位置づけは変わりません。

ちなみに『コーヒーをめぐる冒険』でニコが求めていたのも最後のシーンで飲んでいたのもドリップコーヒーのブラックでした。

 

ドイツのコーヒーシーン

ドイツの人々がコーヒーが欠かせない場は家庭や仕事場、そしてカフェとあらゆるところに広がります。

 

まずは家庭。先述にあるようにドイツ人にとって朝にコーヒーは欠かせません。

コーヒーを用意する時に使われるのは基本的に全自動のコーヒーメーカーで、多くのドイツ人家庭にとっての必需品とも言える存在です。一日の始まりとともにたくさんの家庭でコーヒーが淹れられているのです。

 

次に、仕事場や学校。これらの場においてコーヒーがいかに重要かを表すいい言葉があります。

それが”Kaffeepaise”(カフェパウゼ)です。ドイツ語で「コーヒー休憩」を意味していて、仕事や学校の授業の合間のちょっとした休憩時間のことを指します。頻繁に訪れるこのカフェパウゼでは基本的にコーヒーとお菓子を楽しむため、ドイツでは休憩時間が自然とコーヒー休憩になっているのです。

彼らはコーヒーとともに休憩を挟んで、ちょっとした安らぎと活力を得ているのですね。

コーヒーをめぐる冒険2

 

次にカフェ。ドイツ人にとってカフェはとても大切なコミュニケーションの場です。

ドイツコーヒー協会が実施したとあるアンケートでコーヒーを飲む理由を尋ねたものがあります。一番多かった理由は「眠気覚ましのため」、これは世界共通とも言えるものだと思います。

面白いのが二番目に多かった答え。多くの人がコーヒーを飲むのは「社交のため」と答えているのです。

ドイツにおいてコーヒーはコミュニケーションツールの一つなのです。多くの人がカフェに集いおしゃべりをしたり、そこでしか会わない人と出会ったり…

ドイツの人々にとって、人と人との間を埋める繋がりを作るのがコーヒーであり、そんな繋がりを楽しむ社交場がカフェなのです。

コーヒーをめぐる冒険

こうしてみると、『コーヒーをめぐる冒険』の主人公ニコは、朝や休憩時間などドイツ人がコーヒーがないと困ってしまう場でことごとくコーヒーを飲み損ねていて、ひたすらツイてないことがわかりますね。

 

独特な空気が流れ、いろいろと考えさせられる映画『コーヒーをめぐる冒険』、あなたはこの映画を観て何を思うでしょうか?なかなか観る人を選ぶ映画ではありますが、とてもおすすめです!

ちなみに私が観終わって最初に思ったことは、「コーヒーが飲みたい」でした。