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コラム
COLUMN

2019.07.27
コラム

まーちんのコーヒーと映画:『コーヒーが冷めないうちに』のコーヒーと温度

映画好きは母の影響。スタッフのまーちんです。

映画に出てくるコーヒーに注目するコラムの第4弾です!

今回ご紹介するのは2018年に公開された邦画、『コーヒーが冷めないうちに』…

タイトルからもお分かり頂けるように、この映画ではコーヒーがたくさん出てきます!

コーヒーが物語の中心とも言えるこの作品においてコーヒーがどのように登場するのかを見ていきましょう。

シリーズ第3弾の『ヘイトフル・エイト』に関してのコラムはこちら→ヘイトフル・エイトの温かいコーヒー

『コーヒーが冷めないうちに』のあらすじ

『コーヒーが冷めないうちに』は、川口俊和さんによる戯曲と小説を原作とし、テレビドラマ演出家の塚原あゆ子さんの映画監督デビュー作で2018年公開のヒューマンドラマ・ファンタジー映画です。

コーヒーが冷めないうちに

そんな『コーヒーが冷めないうちに』のあらすじは…

舞台はとある街にある小さな喫茶店「フニクリフリクラ」。

そこはある都市伝説が…それは店内の”ある席”に座れば望んだとおりの過去に戻れるというもの。

そこには…

「過去に戻っても、一度起こってしまったことは何があっても変えられない。」

「過去に戻っても、喫茶店から出ることはできない。」

そして、

「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。冷めるまでに飲み干さなければ過去にとらわれ戻れなくなってしまう。」

といったルールがあった。

誰もが一度は経験のある「もしも、あの時に戻ることができたら……」という「後悔」。

幼馴染と喧嘩別れをしてしまった若い女性、若年性アルツハイマーに侵された妻が何を伝えようとしていたのかを知りたい夫、他界した妹にもう一度会いたい常連客…

様々な「後悔」を抱えた客たちが、今日も店を訪れ”ある席”に座るのであった。

 

…といったもの。

 

ゆっくりと観れて温かい気持ちになれる映画です。ゆったりとした午後なんかに観るといいかもしれません。

ちなみに私は松重豊さんと薬師丸ひろ子さんの演技に号泣しました。

 

『コーヒーが冷めないうちに』でのコーヒー

この作品においてコーヒーは物語の主軸と言えます。

有村架純さん演じる主人公の時田数がコーヒーを淹れることで、席に座った者は過去に戻ることができ、そのコーヒーを飲み切るかどうかで現在に帰ってこられるかが決まるのです。

だからこそ、作品内のコーヒーが淹れられるいくつかのシーンでは、コーヒー抽出という作業にフォーカスされていて、音はBGMと湯が注がれる音のみ、映像も少しだけスローになり琥珀色の液体がカップに注がれる姿を映し出しています。ゆっくりと立ち上る湯気と心地よいコーヒーが落ちていく音が、コーヒー欲を掻き立てます。

コーヒーが冷めないうちに2

有村架純さんのまっすぐと立ち、ケトルを持つ手にもう片方の手を添えてコーヒーを淹れるきれいな姿勢も印象的で、観終わった後はキリッとした姿勢でコーヒーを淹れたくなります。

ちなみにフニクリフリクラで使われているドリッパーはウェーブドリッパーと呼ばれるもので、平底でリブがない従来のものとは少し違う形のものです。リブがない代わりに波打っているフィルターが空気の抜け道を作ることで役目を果たし、短い時間でコーヒーを抽出することが可能です。

 

コーヒーが冷めるとどうなるか?

作品内ではコーヒーの温度がよく話題に上がりますが、一般的に冷めたコーヒーはおいしくないと言われています。

皆さんもコーヒーの味が温度によって少しづつ変化しているように感じた経験はありませんか?

現実の世界ではコーヒーが冷めきってしまっても過去から戻って来られなくなるようなことはありませんが、コーヒーを味わう上で温度というのはとても重要になってきます。

ここではコーヒーと温度の関係に少し触れてみましょう!

 

温度と味覚

コーヒーの味が温度とともに変化しているように感じる原因の一つとして、人間の味覚の温度特性があります。人間の味覚は同じ物を味わったとしても、温度が違えば味の感じ方が変わってくるのです。

コーヒーの温度が高い時、人間の舌は複雑な味を感じることができず「苦味」といったわかりやすい味の方を感じやすくなります。

温度が下がることによって、舌がだんだんと「酸味」や「甘味」を感じられるようになっていき、これらの感じ方が顕著になるため、味が変化したように感じるのです。

コーヒーを飲んでいる人

淹れたてのコーヒーは割としっかりとした印象だったのに、温度が下がって少しサッパリとした印象に変わったり、甘くなったように感じるのは味の感じ方が変わるからなのです。

逆に言えば、少し冷めてきたくらいの方がコーヒーの味を感じることができ、その時もおいしく飲むことのできるコーヒーは上質な物ということです。

もしコーヒー豆が新鮮で上質なもので焙煎が適切に行われている場合は、温度が下がっても「酸味」や「甘味」が顕著になってもそれらに不快感はなくおいしく味わうことができますが…

コーヒー豆が古かったり焙煎が足りなかったりすると、温度とともに雑味やえぐみを感じるようになってしまい、”おいしくない”冷めたコーヒーになってしまうのです。

 

コーヒーの適正温度は?

コーヒーをおいしく味わうためには、コーヒーを抽出する時のお湯の温度や、飲む時の液温が重要になってきます。

コーヒーを淹れる時の理想的な温度は「90~96℃」です。お湯が沸騰してから30秒ほど置いておいたくらいがコーヒーの淹れ時です。

お湯の温度が高いと苦味を含むコーヒーの味わいをしっかりと抽出することができ、その分味わいもはっきりしたものになります。

逆に温度が低いと成分の抽出が少し抑えられ、軽い印象のコーヒーになります。

出したい味に応じてお湯の温度を変えることも悪くはありませんが、基本的に90℃を下回らないようにした方が、味がしっかりでるのでいいでしょう。

コーヒーカップ

コーヒーを淹れた後、美味しく味わうことができる適正な温度は「60~70℃」とされています。

人間が温かい飲み物の美味しさを感じられるのは、体温のプラス25℃と言われています。

これくらいの温度だと、コーヒーの香りをしっかりと感じることができ、また酸味や甘味といった豆の特徴も感じることができるようになります。

できるだけこの温度帯でコーヒーを味わうための工夫として、少しでも抽出時やカップに注いだ時に温度を下げてしまわないよう、器具やカップを温めておくといいでしょう。

 

美味しさを感じることができる範囲内、『コーヒーが冷めないうちに』飲み切ることで、温度に伴うコーヒーの味わいの変化を感じるというのもコーヒーの楽しみ方の一つでしょう。