まーちんのコーヒーと映画:『最高の人生の見つけ方』と動物コーヒー
いつかは自宅で映画を見るようにプロジェクターが欲しいと思っている、スタッフのまーちんです!
映画に出てくるコーヒーに注目するコラムの第6弾、今回は名優二人の感動作から…
ご紹介するのは2007年公開の洋画、『最高の人生の見つけ方』です。
家族愛や友情、夢や人生、行動することの大切さなどいろいろなことを考えさせられる、笑いあり涙ありのこの作品、観終わった後自分のリストを作りたくなるこの映画、『最高の人生の見つけ方』におけるコーヒーをご紹介します。
シリーズ第5弾の『大脱走』に関してのコラムはこちら→まーちんのコーヒーと映画:『大脱走』戦時中のコーヒー
【目次】
『最高の人生の見つけ方』のあらすじ
『最高の人生の見つけ方』(原題:The Bucket List)は2007年公開、『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督作でジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンがW主演を務めるヒューマンドラマ映画です。
そんな『最高の人生の見つけ方』のあらすじは…
45年間、家族のために実直に務めてきた自動車工のカーターと一代で財を成した大富豪エドワード、とある病院で同室となった境遇の全く違う二人。
始めは距離のあった二人だが次第に親しくなっていき会話も増え、打ち解けてゆきお互いの身の上まで話し合う仲になっていく。
ある日、カーターがメモに何かを書いてリストを作っているのが気になるエドワード。何を書いているのか尋ねますがカーターは頑なに教えようとしない。
そんな中、二人に半年という余命宣告が下され、ショックを受けたカーターはせっかく書いたリストをすべて捨ててしまう。
それを見つけたエドワードは再度リストに関して尋ねるとカーターは遂に口を開き、それが死ぬまでにやりたいことのリスト「棺桶リスト」だと説明する。
それを聞いたエドワードはリストを実現しようと持ち掛け、自分のやりたいことも加える。
二人のリストは「見ず知らずの人に親切にする」、「スカイダイビングをする」、「泣くほど笑う」などさまざまなもので満たされ、最初は渋っていたカーターも実行に移すことを決意し、二人は旅に出る。
二人はリストを実行していく旅の中でいろいろなことを、人生とは何か、大切なものは何かを感じ取っていくのであった…
…というもの。
物語自体は割と淡々と進んでいくのに、いつの間にか引き込まれ、観終わった後にはグッと残るものがある、そんな素敵な映画です。
ちなみに私は、エドワードの「世界一の美女にキスをする」の内容がとても好きです!
『最高の人生の見つけ方』でのコーヒー
映画内でコーヒーはエドワードの性格を表したり、物語にちょっとした伏線を生み出したり、そしてエドワードとカーター二人の絆を繋いだりと様々な役割を持っています。
コーヒーがまず出てくるのはエドワードの登場シーン。とあるに法廷いるエドワードは余裕の表情で、水筒にいれたコーヒーをカップに注ぎ、香りを楽しみ、「コピ・ルアック、世界で最も貴重な飲み物だ」と弁護士にコーヒーを勧めます。
裁判中にも関わらずマイペースで、どっしりと構えるエドワードの怖いもの無しな性格や、一級品に目がない大富豪であるところなどがこのワンシーンで映し出されています。
大富豪のエドワードが愛飲しているのは最も高価なコーヒーの一つと言われるコピ・ルアック。
そのコーヒーが一体どんなものなのかを知らずに「最高級のコーヒー」と飲んでいるエドワードですが、ついにその正体を知る日が来ます。
二人は旅の途中あることが原因で喧嘩別れしてしまい、お互い家に帰ることになります。久々に家族との幸せに浸るカーターですがその夜に倒れてしまい病院へ搬送されます。
知らせを聞いたエドワードの急いで病院へ向かいます。ベットで横になるカーターに少し気まずそうに近づくエドワード、そこでカーターが「まだあのコーヒーを飲んでるのか?」と一枚の紙を差し出し、読むように言います。
そこにはエドワードは愛飲するコーヒー「コピ・ルアック」が実はジャコウネコの糞から出てきたコーヒーだという事実が記されていて、二人は大笑いします。リストにある「泣くほど笑う」が達成される瞬間でした。
喧嘩別れした二人の間をまた埋めるきっかけになったのが、物語の序盤から登場していたエドワードのコーヒーだったのです。
動物とコーヒー
以前のコラム「かもめ食堂の美味しい淹れ方の秘密」でも出てきた、エドワードが愛飲するコーヒーのコピ・ルアック。
ジャコウネコという動物の糞からできるコーヒーのことをこの映画で存在を知った方も多いのではないでしょうか。実は動物が関係するコーヒーはコピ・ルアックだけではありません!
ここでは動物が大きくかかわる少し変わったコーヒーたちをご紹介します!
ジャクーコーヒー
コピ・ルアックをヒントに作られたコーヒーにジャクーコーヒーというものがございます。
コピ・ルアックがジャコウネコの糞から採取されたコーヒーなのに対して、このコーヒーはジャクーというキジに似た大きな鳥の糞から採取されたものです。
温暖な地域に生息するこの鳥はブラジルなんかではコーヒーノキの近くで飼育されていて、ジャコウネコ同様、コーヒーチェリーを食べさせて糞として出てきたコーヒー豆を取り出されたコーヒーが希少価値の高いコーヒーとして取引されています。
コピ・ルアックの様に独特な味わいを持ちますが、ジャコウネコに比べて排泄までの時間が短いことから、過度な発酵がされずスッキリしたクリアでフルーティな味わいになると言われています。
ブラック・アイボリー
コピ・ルアックがジャコウネコ、ジャクーコーヒーがジャクーと比較的小さな動物の糞から採取されるコーヒーなのにたいして、ブラック・アイボリーと呼ばれるコーヒーはもっと大きな動物から採取されます。
その動物はなんと象。タイで作られているこのブラックアイボリー。
収穫されたアラビカ種のコーヒーチェリーを通常の食事、フルーツなんかに混ぜ込んで象に与え、約30時間後に排泄された糞の中からコーヒーを選別し、洗浄と乾燥を経てようやくブラック・アイボリーとなります。
胃の中でフルーツなどと一緒に長時間発酵されていることからしっかりしつつもマイルドな苦味とフルーティーな味わいになると言われています。
モンキーコーヒー
動物が関わるからと言ってすべてが糞から採取されるものではありません、インドにはサルが一度食べて吐き出した、モンキーコーヒーというものがあります。
モンキーコーヒーとはサルが一度食べてから吐き出したものを使って作られるコーヒー豆です。完熟したコーヒーチェリーを食べるサルはしばらく咀嚼した後に、噛み切れない部分を吐き出します。
吐き出され、地面に落ちたコーヒーを拾って回収し、洗浄と乾燥が行われモンキーコーヒーとして取引されます。
モンキーコーヒーは咀嚼されている間に唾液による発酵が進み独特な風味を生み出すとされています。中には歯形がついている豆も多いようです。
今回ご紹介したもの以外にも動物が関わるコーヒーはいくつかあり、100gあたり5000円から1〜2万円近く、時にはもっとする物とまちまちですが、どれもとても高価だという共通点がありますが…
実際のところ、一度に大量に作ることができないという希少性に付与されている価値が大きいため、コーヒーそのものが持つ独特な味わいに関しては賛否両論あり、ベースコーヒーとしては品質が伴わないと判断しているので、当店での販売は今のところありません。
また時には動物たちに無理やりコーヒーを食べさせ採取することが動物虐待だと問題になったり、実際に動物が関わるコーヒーはほんの少ししかブレンドされていないのにその名が語られる場合があるといった問題もあります。
しかしその独特な味わいに魅せられた、エドワードのような愛飲者は一定数いて、今も世界では高値で取引されています、毎日のように飲むことはできないかもしれませんが「一度は飲んでみる」というのを棺桶リストに入れておいてもいいかもしれませんね。