まーちんのコーヒーと映画:ヘイトフル・エイトの温かいコーヒー
思入れのあるコーヒー産地はコスタリカ、スタッフのまーちんです。
映画に出てくるコーヒーに注目するコラムの第3弾です!
『かもめ食堂』、『ベイビー・ドライバー』ときたこのシリーズ、次にフォーカスを当てるのは…
クエンティン・タランティーノ監督作品『ヘイトフル・エイト』です!
雪山を舞台に繰り広げられるこの作品においてのコーヒーとは…
シリーズ第2弾の『ベイビー・ドライバー』に関してのコラムはこちら→ベイビー・ドライバーから見るアメリカのコーヒー風景
【目次】
『ヘイトフル・エイト』のあらすじ
『ヘイトフル・エイト』(原題:The Hateful Eight)は『パルプフィクション』などで有名なクエンティン・タランティーノ監督の第8作目の長編作品で2015年(日本では2016年)公開のミステリー西部劇です。
そんな『ヘイトフル・エイト』のあらすじは…
舞台は南北戦争終結から数年後の冬、猛吹雪が迫るワイオミング州の山中。
サミュエル・L・ジャクソン演じる賞金稼ぎのマーキス・ウォーレンは寒さで馬がやられ立ち往生していた。
そこに通りかかったのが、同じく賞金稼ぎのジョン・ルースを乗せた馬車だった。彼は賞金首の女、デイジー・ドルメグをレッド・ロックという街まで連行している途中…
ウォーレン、ルース、ドルメグを乗せる馬車は途中で1人レッド・ロックの新任保安官にクリス・マニックスに出会い、ひどい猛吹雪から避難するため彼らは中継地にある山小屋、ミニーの紳士洋品店に向かうことにする。
山小屋にはミニーの代わりに店番をしていると言う見知らぬメキシコ人のボブに加え、どこか胡散臭い英国訛りの男オズワルド・モブレー、無口なカウボーイのジョー・ゲージ、南部の元将軍サンディ・スミザーズの3人が同じく避難していた。
どこかお互いを怪しいと感じながらも、一夜を共にすることになった人種も境遇も違う彼ら…この吹雪の山小屋という密室でとんでもない事件が起こるとも知らずに…
…といったもの。
なかなかバイオレンスな作品ですが、独特な雰囲気と、名優たちの台詞まわしが引き込まれる作品です。
吹雪の山小屋という舞台柄、作中に出てくるあたたかいコーヒーとシチューがとても美味しそうに見えます。
『ヘイトフル・エイト』でのコーヒー
『ヘイトフル・エイト』においてコーヒーは癒しと恐怖を与える存在でした。
そんなコーヒーが出てくるのは、まずチャプター3のジョン・ルースたちが山小屋へ到着するシーン。
ジョン・ルースは小屋に先客がいることを見つけ、オズワルド・モブレーに事情を聞きながらコーヒーに手を伸ばしますが、メキシコ人ボブが淹れたというそのコーヒーはひどい味でジョン・ルースは自らコーヒーを淹れ直します。
ちょっとした作業を終えて遅れてやって来た他の面々は、凍える身体を温めるため、そのコーヒーを美味しそうに飲み、その後もコーヒーを片手に何気ない会話をするというシーンが続きます。
ここでのコーヒーは凍える吹雪の中で物語に少しの安心と温かさを与えるアイテムでした。
もしてもう一場面コーヒーが出てくるのが、物語の大きな転機となるチャプター4です。
このチャプターで先程まで皆の身体を温めていたコーヒーは何者かによって毒が入れられ、それを知らずに飲んでしまった、ジョン・ルースと御者のO.B.は命を落とすこととなり、小屋内の空気は外の吹雪よりも冷たいものとなります。
先ほどまで安らぎを与えていたコーヒーが一転して恐怖と混乱を招く物に変わり、同じく物語も大きく転換していくのです。
コーヒーと体温の関係
凍える身体を温めるため、ミニーの小屋に避難した面々は度々コーヒーを飲んでいます。皆さんも寒い日には温かいコーヒーが飲みたくなる時もあるでしょう。
しかしコーヒーを飲むことによって逆に体温を下げてしまうことがあることをご存知ですか?
ここではコーヒーと体温の関係を簡単に解説します!
コーヒーの体温を上げる作用
実のところ、コーヒーには「体温を上げる作用」と「体温を下げる作用」両方があるとされています。
そこで重要になるのが「カフェイン」です。
以前のコラム「コーヒー健康法:コーヒーにはどんな効果が?」にて紹介がされていますが…
カフェインには興奮作用とそれに伴う血行促進作用があります。また代謝も促進されるため体内の熱産生が上がり、身体の内部の温度は上がりやすくなります。
コーヒーの体温を下げる作用
体温を上げる効果を持つカフェインですが、同時に体温を下げる効果もあります…
その1つが交感神経への刺激に伴う、手足の冷えです。
カフェインを摂取することにより交感神経が刺激され手足の血管が収縮し、一時的に温度が下がってしまいます。
健康体には特に影響のない手足の冷えですが、冷え性の方や病気の方はコーヒーを短時間で大量に飲み過ぎてしまうとあまり良くないので、摂取量に気をつけた方がいいでしょう。
またもう一つ気をつけるべきなのが、カフェインの利尿作用です。排尿は体温の低下を招くため、コーヒー摂取によって必要以上の排尿が行われることにより急激な体温低下を招いてしまいます。
まとめると、「コーヒーは体温を上げる効果下げる効果両方が認められ、適切に摂取すれば体温の適度な上昇が期待できるが、過剰に摂取しすぎると必要以上に体温を下げてしまうことがある。れ
…ということになります!
『ヘイトフル・エイト』の、温かさをできるだけ保っておきたい状態を考えると、チャプター3でほぼずっとコーヒーを飲んでいて、チャプター4でも毒入りコーヒーを飲みかけたクリス・マニックスが一番危ない飲み方をしていたということになります!
なかなか過激で後半大変なことになる『ヘイトフル・エイト』ではありますが、作中に出てくるコーヒーは毒入りになるといえどとても美味しそうで、「寒い日にはやっぱりコーヒーだな!」と思わされるでしょう!